KVシリーズPLC用に、RS-232C RS-485 の変換器をつくってみました。KV-3000またはKV-Nanoの「RJ12」6極4芯モジュラージャックと、PCなどのD-SUB 9ピンにも対応しています。
(2024-07-31 初版投稿)
目次
- はじめに
- 部品リスト
- 動作説明
- 回路図/実装図
- 動作確認
はじめに
KV-NC32Tの本体に実装されているRS-232Cポートを使ってRS-485機器を接続したかったので、実験的に製作してみました。また、KV-NC20Lのポート1(RS-232C)をRS-485として使うことも前提にしています。
PLC本体(ポート0)や、KV-NC20Lのポート1のRJ12ジャックに接続の場合は、このポートの5V電源を使います。D-SUB9ピン接続の場合は別に24V電源から供給します。7番ピンのRS信号から5Vを作る方法もありますが、信頼性のことを考え不採用にしました。
動作確認用に、今回はジャノメ基板(秋月AE-B2-CEM-3)で作成しました。半導体は基板を起こすことを前提に面実装部品を使いました。面実装部品のジャノメピッチ変換は、秋月電子通商のDIP変換基板を使っています。
今回製作したものは動作確認用のため、これを利用したことによる不都合、損失が発生しましても、当サイト及び管理人は一切責任を負いません。
部品リスト
識別 | 型式 | メーカ | 変換基板 (秋月販売CD) | |
---|---|---|---|---|
RS-232Cドライバ | IC3 | ADM202JRNZ | アナログデバイセス | 106541 |
RS-485ドライバ | IC2 | ADM485ARZ | アナログデバイセス | 106016 |
MM | IC1 | SN74LVC1G123DCTR | テキサスインスツルメンツ | 108210 |
インバータ | IC4 | TC7SHU04F | 東芝デバイス&ストレージ | 112674 |
ORゲート | IC5 | TC7SH32F | 東芝デバイス&ストレージ | 112674 |
SBD | D1~D3 | 1SS396 | 東芝デバイス&ストレージ | 112674 |
ベースの基板は前述した、秋月の「AE-B2-CEM-3」。DC-DCコンバータはTDKラムダ「CC1R5-2405SF-E」を使いましたが、コーセル製でも。今回は24V給電ですが、それ以外なら供給する電圧に合ったものを使ってください。
受動部品は電気図から読んでください。実装が面倒なのでチップ部品は使いませんでした。
R5とC8は積分回路の定数なので、温度係数と精度の良いものを。
RJ12モジュラーコネクタはタイコエレクトロニクス社製です。これは取り付けてから判明しましたが、ケーブル側のロックが上になる仕様の方が使いやすいです。(ピン配列が表裏逆になります。)
動作説明
(回路図参照してください。)このノードが送信する時のみ、RS-485のドライバをイネーブルにする必要があるので(IC2)DEピンをロジックハイにします。そこで送信時の信号の立下りエッジでバイブレータ(IC1)をトリガさせます。IC1はリトリガされると、そのトリガも有効になり単安定モードを持続します。パルス時間は時定数が1ms以上の時、C8(0.1uF)×R5(18kΩ)になるので、ここでは約1.8msです。(IC2)DEピンがローレベルの時はドライバはハイインピーダンスになり実質的にバスから切り離されます。
また、(IC2)/REピンをハイレベルにするとROピンがハイインピーダンスになるのでR1でプルアップしています。
PCやKV-NC20Lのポート1(RS-232C)にはCS信号入力(D-SUB9の8ピン)があります。通常、常時ハイレベルを保つ必要があるため、(IC3)RS-232Cドライバ10ピン(TR2in)をローに落としD-SUB 8ピンをハイにしています。(KV-NC32Tなど、本体ポート0のRJ12モジュラージャックにはCS信号はありません。) ユーザーズマニュアル
PCのターミナルソフトから9600bpsで送信した時の波形です。CH1はIC4の4ピン(インバータ出力)、CH2はIC1の5ピン(バイブレータ出力)で、リトリガ後約1.46ms(画面右のΔXの値)ハイレベルを保っているのが見えます。
ダイヤディックシステムズの電動シリンダで試験してみました。設定ツール「TBVST」を使って115200bpsで電動シリンダと通信している波形です。CH3が応答波形です。
上の送信データ最後の部分を拡大しました。バイブレータ出力がリトリガ後約1.55ms(画面右のΔXの値)ハイレベルを保っています。
回路図/実装図
図面上のIC1(TC7WH123FU)は入手できなかったので、部品リストの様に変更しています。
下の回路図をクリックするとPDFファイルで開きます。
配線パタンはここから。部品面からと半田面から見たパタンをダウンロードできます。
パタン図面と写真の配置は若干相違があります。
ピッチ変換基板のピンヘッダ―はプロービングしやすい様、長い方を部品面にしています。細ピンタイプ (IC2/IC3以外) のピンヘッダの短い方 (ジャノメ基板に半田する側) はジャノメ基板の半田面に届かないので、こてで加熱しながら上から押し込んで半田面にピンを露出させています。
動作確認
ダイヤディックシステムズ社製電動シリンダを、設定ツール「TBVST」で起動しています。
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